目次

- インクラインプッシュアップとは何か・通常の腕立て伏せとの違い
- 鍛えられる筋肉とトレーニング効果
- 正しいフォームとやり方(初心者向けステップアップ付き)
- よくあるNGフォームと修正方法
- 効果を最大化するポイントと応用バリエーション
- 加圧トレーニングとの組み合わせでさらに効果を高める方法
インクライン腕立てとは何か——「できない」から始められる腕立て伏せ
「腕立て伏せ、やろうと思ったけど1回もできなかった」
こんな経験はありませんか?実は通常の腕立て伏せは、体重のおよそ60〜70%を上半身で支える必要があり、筋力が十分についていない状態ではかなり難しい運動です。特に女性や運動初心者にとって、最初の1回が出ない
——というのは珍しいことではありません。
そこで登場するのが、インクラインプッシュアップ(インクライン腕立て伏せ)です。
「インクライン」とは「傾斜」を意味する英語。手を高い位置(台・ソファ・壁など)に置くことで体が斜めになり、腕にかかる体重の割合が減少します。台が高ければ高いほど負荷は軽くなり、壁に手をついた状態であれば体重のわずか10〜20%しか腕にかかりません。
つまりインクラインプッシュアップは、自分の体力レベルに合わせて負荷を自由に調整できる、非常に優秀な上半身トレーニングです。
「通常の腕立てができない」→「インクラインプッシュアップで始める」→「慣れてきたら台を低くしていく」→「通常の腕立てができるようになる」
——このステップアップが、自宅筋トレの王道パターンです。
インクラインプッシュアップで鍛えられる筋肉
インクラインプッシュアップは、一見シンプルな動作ですが、じつは複数の筋肉を同時に刺激します。それぞれの役割を理解しておくと、フォームを意識しやすくなります。
① 大胸筋(特に大胸筋下部)
胸の大部分を占める大きな筋肉。インクラインプッシュアップでは、通常の腕立て伏せよりも大胸筋の下部が強く刺激されます。大胸筋下部を鍛えることで、胸の輪郭(特に胸の下のライン)が引き締まり、バストのリフトアップ効果も期待できます。
女性にとっては、「胸が垂れてきた」「バストのボリュームが落ちてきた」という悩みへのアプローチとして有効です。
② 上腕三頭筋(二の腕の裏側)
押す動作全般で使われる筋肉。日常生活では椅子から立ち上がる動作や、ものを押す動作で使われますが、意識的に鍛える機会が少ないため、多くの人でたるみやすい部位です。インクラインプッシュアップを継続することで、二の腕の裏側の引き締め効果が得られます。
③ 三角筋前部(肩の前側)
肩の前部の筋肉。腕を前に押し出す動作で活性化します。肩の丸みをつくる筋肉でもあり、鍛えることで肩のシルエットが整います。
④ 前鋸筋(脇の下・肋骨まわり)
肩甲骨を外側に広げる動作で使われる筋肉。インクラインプッシュアップでは肩甲骨の動きを伴うため、この筋肉も活性化されます。前鋸筋が弱いと「翼状肩甲(肩甲骨が飛び出てみえる状態)」になりやすいため、鍛えることで背中の見た目も改善されます。
⑤ 体幹(腹直筋・腹横筋・脊柱起立筋)
プッシュアップ全般では、体を一直線に保つために体幹が常に働いています。腰が落ちないよう、お尻が上がらないよう——この姿勢維持が体幹のトレーニングになります。
まとめ:インクラインプッシュアップは「上半身総合トレーニング」
大胸筋・上腕三頭筋・三角筋・前鋸筋・体幹
——一つの動作でこれだけの筋肉を同時に刺激できるのが、プッシュアップ系トレーニングの最大のメリットです。しかも器具不要・自宅完結。コストパフォーマンスは最高クラスのトレーニングといえます。
インクラインプッシュアップの正しいやり方
では、実際のやり方を詳しく解説します。フォームが崩れると、鍛えたい筋肉に効かず、逆に関節や腱を傷めるリスクがあります。一つひとつの手順をしっかり確認してください。
必要なもの
特別な器具は不要です。以下のようなものが台として使えます。
- ●テーブル・デスク(最も安定していておすすめ)
- ●ソファや椅子の座面(やや不安定なので慣れてから)
- ●階段の段(高さを細かく調整できる)
- ●壁(最も簡単。ほぼ体重がかからない)
- ●ベンチや踏み台(ある場合)
初心者は腰の高さ程度の台から始めるのが安全です。
ステップ1:スタートポジションをつくる
- 台から一歩ほど離れて立ちます
- 手を台の端に置きます。手幅は肩幅よりやや広め(肩幅の1.2〜1.5倍が目安)
- 腕をまっすぐ伸ばし、手のひらで台を押すように支えます
- 足を後ろに引いて、体が斜めの一直線になるよう調整します
- この時、頭・肩・腰・かかとが一直線になっていることを確認します
- ●腰が落ちていないか(お腹に軽く力を入れて腰をニュートラルに保つ)
- ●お尻が上がっていないか
- ●首が前に出ていないか(視線は斜め前、首は自然な角度)
ステップ2:下ろす(ネガティブフェーズ)
- 肘をゆっくりと曲げながら、体を台に近づけます
- 肘の角度は外側に開きすぎず、体の横から45〜60度程度が目安
- 胸が台に近づくか、軽く触れる程度まで下ろします
- 下ろすスピードは2〜3秒かけてゆっくりと。早く下ろすと筋肉への刺激が半減します
- ●体が一直線を保っているか(腰が折れたり、お尻が浮いたりしていないか)
- ●肘が外に開きすぎていないか(肩への負担が増します)
- ●呼吸は吸いながらゆっくり下ろす
ステップ3:押し返す(ポジティブフェーズ)
- 胸の筋肉を使って台を押し返すイメージで、肘をゆっくりと伸ばします
- 完全に伸びきる直前で止め、再び下ろす動作に移ります(肘を完全にロックしない)
- このフェーズで息を吐きます
- ●肘を伸ばす時も体のラインが崩れていないか
- ●「胸で押している」感覚があるか(肩だけで押してしまうと大胸筋に効きにくい)
推奨回数・セット数
初心者:8〜12回 × 2セット(セット間の休憩1〜2分) 慣れてきたら:10〜15回 × 3セット さらに進む:15〜20回 × 3セット(その後、台を低くして負荷を上げる)
よくあるNGフォームと修正方法

正しいフォームで行うことが、インクラインプッシュアップの効果を最大限に引き出す鍵です。よくあるNGパターンを確認しておきましょう。
NG①:腰が落ちる(お腹が地面に向かって下がる)
なぜいけないか: 腰椎(腰の骨)に過剰なストレスがかかり、腰痛の原因になります。また、大胸筋ではなく肩や腕だけで動作することになり、トレーニング効果が激減します。
修正方法: お腹に軽く力を入れ(ドローイン)、腹圧を高めた状態でトレーニングを始めましょう。鏡の横に立ってフォームを確認するか、スマホで動画を撮って確認するのが効果的です。腰が落ちるようであれば、台をもっと高くして負荷を下げましょう。
NG②:お尻が上がる
なぜいけないか: 体幹への刺激がなくなり、プッシュアップの恩恵の一部が失われます。また、下半身の体重が腕にかからなくなり、見た目以上に楽になってしまいます(それ自体はいいのですが、意図しない変化はフォーム崩れのサインです)。
修正方法: 骨盤を軽く後傾させる(お尻を少し丸める)意識を持ちましょう。足の位置を前に出しすぎていないか確認し、体全体が一直線になるよう調整します。
NG③:頭が下がる・首が前に出る
なぜいけないか: 首への負担が集中し、首こりや頸椎への悪影響につながります。体の一直線が崩れ、フォーム全体が乱れます。
修正方法: 視線は斜め前・地面の少し先を見ます。「頭は体の延長線上」という意識を持ち、首を特定の方向に曲げないようにしましょう。
NG④:肘が外に大きく開く
なぜいけないか: 肩関節への負担が増大し、肩を傷めるリスクが高まります。また、大胸筋よりも三角筋(肩)への負担が大きくなり、狙いが変わってしまいます。
修正方法: 肘の開き角度は体に対して45〜60度程度が安全。「ひじ先が外を向いている」状態ではなく、「ひじが体の斜め前方に向かっている」状態を目指します。
NG⑤:勢いをつけて素早くやる
なぜいけないか: 筋肉への負荷時間が短くなり、効果が半減します。また勢いが関節に余計なストレスをかけます。
修正方法: ゆっくり・丁寧に行うことが筋肉への刺激を高めます。特に「下ろす動作(ネガティブ)」をゆっくりすることが重要。3秒かけて下ろし、2秒かけて押し返すリズムを意識してみてください。
NG⑥:手首に痛みがある状態で続ける
なぜいけないか: 手首の腱や関節が炎症を起こし、より深刻な怪我につながります。
修正方法: 手首に痛みがある場合は、無理せずすぐに中断。フィストプッシュアップ(拳を地面につけて行う)に変えるか、ダンベルを使って手首を立てた状態で行う方法もあります。慢性的な痛みがある場合は専門家への相談を。
効果を最大化する7つのポイント
正しいフォームをマスターしたら、次はトレーニングの質を高める工夫をしていきましょう。
ポイント①:「胸に効いている感覚」を意識する
筋トレは「重量を動かすこと」ではなく「狙った筋肉を刺激すること」が目的です。インクラインプッシュアップであれば、大胸筋(胸の筋肉)が押す動作ごとに収縮している感覚を意識します。感覚がつかみにくい場合は、台に手を置いた状態でゆっくり片手で胸を触りながら動いてみると、動きを感じやすくなります。
ポイント②:最後の1〜2回が「ギリギリできる」負荷設定を
ラクラクできる回数では筋肉への刺激が十分でなく、効果が出にくくなります。設定した回数の最後1〜2回が「少しきつい」と感じる程度の台の高さと回数が適切な負荷設定の目安です。
ポイント③:手の幅を変えてターゲットを変える
ワイドグリップ(手幅を広くする):大胸筋外側への刺激が増える ナローグリップ(手幅を狭くする):上腕三頭筋への刺激が増える
目的によって手幅を調整することで、トレーニングのバリエーションが広がります。
ポイント④:テンポを変えて刺激を変える
同じ回数でも、テンポを変えると筋肉への刺激が大きく変わります。
スタンダードテンポ:2秒で下ろし、1秒で上げる スロー(ネガティブ重視):4秒で下ろし、2秒で上げる。筋肉への負荷時間が長く、より効果的 スーパースロー:5〜6秒で下ろし、5〜6秒で上げる。非常に高い筋緊張が生まれる
初心者はスタンダード、慣れてきたらスローテンポを取り入れてみましょう。
ポイント⑤:呼吸を止めない
運動中に呼吸を止めると血圧が急上昇し、心臓への負担が大きくなります。「下ろす時に吸い、上げる時に吐く」のが基本。最初は難しく感じますが、意識し続けることで自然に身につきます。
ポイント⑥:セット間の休憩を適切に取る
30秒〜1分:筋持久力・代謝向上向き(脂肪燃焼寄り) 1〜2分:筋力・筋肥大のバランス(一般的なボディメイク向き) 2〜3分:最大筋力向上向き
ポイント⑦:週2〜3回、超回復を意識したスケジュールで
筋肉は鍛えた後、24〜72時間かけて修復・成長します(超回復)。毎日同じ部位を鍛えるより、2日おきに行う方が効果的です。週2〜3回のスケジュールが継続しやすく、効果も出やすいです。
応用バリエーション:レベル別ステップアップ
インクラインプッシュアップをマスターしたら、次のステップに進みましょう。
壁に手をつき、壁から30〜50cm離れた位置で行います。体重のほぼ0%が腕にかかるため、最も負荷が軽い。「プッシュアップの動作を覚える」段階に最適。
本記事のメインテーマ。腰の高さのテーブルなどを使います。体重の30〜40%が腕にかかる目安。
椅子の座面や階段の3〜4段目くらいを使います。体重の50〜55%が腕にかかる。通常の腕立て伏せへのブリッジとなるレベル。
膝をついた状態での通常腕立て伏せ(ニープッシュアップ)。体重の約50%が腕にかかります。
膝を伸ばした通常の腕立て伏せ。体重の約65〜70%が腕にかかります。一般的な「腕立て伏せ」のイメージ。
足を台に乗せた状態で行います。体重の70〜80%が腕にかかる上、大胸筋上部と肩への刺激が強くなります。
両手の親指と人差し指でひし形をつくり、手を体の中心に置いて行います。上腕三頭筋(二の腕)への刺激が格段に高まる、二の腕引き締めの最強種目。インクライン・フルどちらのポジションでも行えます。
肩こりや首こりに悩む人への特別ガイド

fan’sの会員さんの中には、デスクワークによる肩こりや首こりが気になって来られる方も多くいます。インクラインプッシュアップは、適切に行えば胸・肩・背中の筋肉バランスを整え、肩こり予防・改善に貢献します。
ただし、注意点があります。
肩こりがひどい時期はプッシュアップを控える
急性期(激しいこりや痛みがある状態)のトレーニングは炎症を悪化させる可能性があります。まずストレッチやマッサージで状態を改善してから取り入れましょう。
プッシュアップの前後にストレッチを行う
胸椎(背中の上部)のストレッチや、胸筋のストレッチを前後に行うことで、肩の動きが改善されます。
ローイング系のトレーニングとセットで行う
プッシュアップは「押す」動作です。「引く」動作(ローイング・バンドプル)とセットで行うことで、前後の筋バランスが整い、肩こりが改善しやすくなります。
インクラインプッシュアップ×加圧トレーニングでさらに効果を高める
fan’sでは、プッシュアップ系のトレーニングに加圧ベルトを組み合わせることで、効果を大幅に高めています。
加圧トレーニングとは、腕の付け根に専用ベルトを巻いて血流をコントロールし、軽い負荷でも高い筋肉刺激を得られる方法です。
加圧状態でインクラインプッシュアップを行うと
- ●通常の3〜5倍の乳酸が筋肉内に蓄積し、成長ホルモンの分泌が促進される
- ●少ない回数でも十分な筋疲労が得られるため、関節への負担が少ない
- ●特に上腕三頭筋(二の腕)と大胸筋下部への刺激が強化される
- ●短時間で効果的なトレーニングができるため、忙しい方にも最適
「自宅でインクラインプッシュアップを続けているけど、もっと早く結果を出したい」という方に、加圧×パーソナルの組み合わせを体験してみてほしいと思います。
よくある質問(Q&A)
Q:毎日やっても大丈夫ですか?
毎日同じ部位を鍛えることは推奨しません。筋肉の回復には24〜72時間かかるため、週2〜3回(1日おき)がベストです。
Q:何回くらいできたら通常のプッシュアップに移行すればいいですか?
インクライン(腰高の台)で20回以上を正しいフォームで3セットできるようになったら、台を低くするタイミングです。
Q:手首が痛くなります。どうすればいいですか?
手首の角度を変える(手を少し外向きに開く)、手首のストレッチをトレーニング前後に行う、フィストプッシュアップに変えるなどの方法を試してみてください。改善しない場合は無理をせず、専門家に相談を。
Q:胸ではなく、肩に効いてしまいます。なぜですか?
肘の開き角度が大きすぎることが原因の場合が多いです。肘を体に少し近づけ(45度前後)、胸を台に近づけるイメージで動作すると、大胸筋に効きやすくなります。
Q:初心者でも痩せますか?
インクラインプッシュアップ単体でのカロリー消費は大きくありませんが、筋肉がつくと基礎代謝が上がり、日常的に消費カロリーが増えます。有酸素運動と組み合わせることでより効果的です。
まとめ:インクライン腕立てはすべての人の「スタートライン」
インクラインプッシュアップは、筋トレの入口として最適なエクササイズです。
器具が不要で、自宅でいつでもできて、負荷を自分で調整できて、上半身の複数の筋肉を同時に鍛えられる。「今日から筋トレを始めたい」と思ったその瞬間から、実践できるトレーニングです。
正しいフォームで行えば、二の腕の引き締め・バストアップ・肩の引き締め・体幹強化まで、一つの動作でカバーできます。
ただし、自己流での限界もあります。「本当に正しくできているか」「自分に最適な負荷設定はどこか」「自宅トレーニングの先に何が必要か」——これらを確認したい方には、ぜひfan’sの体験トレーニングをおすすめします。
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